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化粧水平材(梁・根太・垂木)で作り出す日本のリズム - 2

 

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現在の建築技術は、不可能と思えるような造形もいとも容易く作り出すことができます。

ですので「これはどうやって持っているのだろう?」なアバンギャルドな建物も増えました。

そういった造形が人目を惹き付けます。云わば マジック ですから。

 

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確かに面白いのです。が、荷重をしっかりと受け止める造形もまた面白いのです。

それは古の木造建築が生み出した重力への素直な構造での解法、知恵です。

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重さある物を、重力を、どう受けるかどう支えるかが確かな形として現れます。

働いている力の流れを素直に形で受ける。それは機能美と言っていいかもしれません。

 

 

 荷重を受けている構造架構を形として見せる

 

前回の記事では、床を受ける 根太を現わしで納める 手法について述べました。

またそれでこそ外観意匠に日本建築ならではのリズムを加味できるはずとも思います。

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このマンションではその考え方に倣い、腕木で壁を受ける 形をそのまま現わして外観としています。

 

 

  化粧腕木

 

 

ご存知のように、ほとんどのマンションは住戸の外に 共用廊下とバルコニー をプランされますが、

それらは基本の 躯体から外に跳ね出す形 で造られるのが一般的です。

 

   跳ね出し、俗にキャンチレバーとかキャンチとか言われていますね。

 

構造的にはそれで十分、まったく問題ありません。朝飯前です。

ですが、古の木造建築ではこんなアバンギャルドなことはできません でした。

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下から 方杖で受ける か、まずは 腕木のような梁を出して受ける か等の工夫が必要でした。

繰り返しますが、その造形が日本建築ならではの美しさを生み出していたように思うのです。

 

私にそのことを再認識させてくれたのが、例えば 丹下健三の香川県庁舎 等の建物です。

 

 

    丹下健三:香川県庁

    クリックで Google 画像検索ページ「 丹下健三 香川県庁 」を開きます

 

各階バルコニーの荷重を受ける腕木の小梁が、ピリリと引き締まったリズムを作り出しています。

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躯体より跳ね出した部分を何かが下で支えるデザインは理に叶っていますし、何より腑に落ちます。

 

   このマンションでは、腕木がバルコニー前面の壁を受け支えるデザインとしました。

 

 

 構造意匠の腕木に他にも機能も持たせる

 

ところで折角作り出したリズムですから、昼だけではなく夜にもそのリズムを楽しみたい ものです。

マンションも家。暗くなっての帰宅時に、住む人が 「 じぶんち 」 の実感を確かめられるように。

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そこで思い付いたのは 照明 でした。腕木の先端に照明を取り付けることを施工期間中に決定。

考慮したのは、周りの看板やネオン等の雑多で鮮やかな色に埋没しないこと。

 

辿り着いた答は、緑色の灯りを七つななつ星 です。

 

 

  化粧腕木

 

 

  おかえりなさい。

 

 

化粧水平材(梁・根太・垂木)で作り出す日本のリズム - 1

 

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今日のほとんどの建物では隠されることが多く目にすることも少ないでしょうが、

屋根を受ける垂木や床を受ける根太、更にそれらを受ける梁( 桁 )を 現わしで納める のは如何でしょう。

 

 

   化粧根太

 

 

と、いきなり書きましたが、

実は その納め方 にこそ、日本建築の美しさや面白さ が潜んでいるのではないかと私は思っています。

 

 

 構造架構がむき出しだった木造の構造物

 

例えば、清水寺の懸崖造りを支えている梁や嵐山渡月橋の橋脚に渡されている梁などに見る姿です。

横架材(大断面の水平材)が規則正しく並ぶ姿は、力強くまた端正な美しさに溢れています。

 

 

    検索:清水寺

    クリックで Google 画像検索ページ「 懸崖造り 清水の舞台 」を開きます

 

    検索:渡月橋

    クリックで Google 画像検索ページ「 渡月橋 」を開きます

 

他にも正倉院の高床を受けている大梁や、まだ残存している幾多の木橋は私にとって大切なお手本です。

 

   ● クリックで Google 画像検索ページ「 正倉院 」を開きます

   ● クリックで Google 画像検索ページ「 木橋 」を開きます

 

或いは古民家などで見られる丸裸の柱や梁の架構のダイナミズムには見惚れるばかりなのですが、

今日では構造材をできるだけ隠す納まりが主流になってしまいました。残念なことです。

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何故ならば、裸で晒すには木材の等級も上げなければなりませんし手も掛かるから。

加えて時と共にボード類の開発も進み品質も上がりました。技術も時代と共に流れを変えます。

 

ですが大断面の部材でなくとも、垂木や根太のような細材でも同質の趣は創り出せる はずです。

 

 

 横架材だけじゃない、細材で日本の美しさを

 

ほら、細材には細材ならではの 数による小気味よいリズム が生み出せます。これも日本建築ならではの美。

またそのリズムを際立たせているのが、それら 細材の木口 の存在であることに改めて気付かされます。

 

   例えば、社寺建築で横樋の付いていない屋根では、その下に並ぶ垂木の作り出す美しさを味わえます。

 

並び連なる 木口が作り出すリズム は、空間にメリハリある顔を創り出してくれます。

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そうは言っても、外回りではまたもや多くの制約が生じますから、そこは工夫の為所かと思います。

そこで、ここでは2階床のはね出し部分を受ける 根太を現わし で納めようと試みました。

 

木口の並ぶ姿は、この吹抜けの空間に一味違う日本的な表情を創り出したように思います。

 

 

   化粧根太

 

 

そもそもは、若い頃に京都の町で見ていた町屋の眺め。

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設計時の気分は 「 屋根越しの2階の窓に掛かるすだれ風情を室内に 」 でした。

 

 

リフォーム : 引込戸にして 「 間取り 」 の使い分け

JUGEMテーマ:家づくり / 設計ノート

 

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トイレを新設するにあたり、水廻りの間取りに手を加えたリフォーム です。

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リフォームに当たって最も注意を払った大きなポイントは、
引違い戸だった水廻り諸室へ繋がる建具を 親子の引分戸へ変更 したことでしょうか。

  融通の利く使い勝手を求めて引込戸に

且つ、引き込んだ時に開口部に建具が残らないよう、引込戸 として納めています。

  リフォーム / 引込戸 親戸は引込まれた状態


それまでの開口巾は1間でしたが、壁面を1尺半伸ばす ことを優先させました。

  - 手前の部屋の 壁面長 を欲したことと、新設 トイレへの目隠し壁 の用を期待したためです。
  - 下図を参照。新設トイレは図の右上、その奥に既設の風呂場があります。

またその伸ばされた壁の1尺半分は、子戸の引込み場所 として寸法を割り出して納めています。

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一方の 親戸 は、こちらも寸法を調整した上で、階段下に新たに設けた 収納部に引込 んで納めています。

  - 下図を参照。左下部分が既設階段です。
  - ※ 1間は6尺です。また1尺≒300mm ですので、1尺半≒450mm になります。

  リフォーム / 引込戸 親子の引込み戸


戸を閉じた時と開け放した時とで、明確な使い分けができることを狙っています。

 「 閉じた時 」 と 「 開けた時 」 の・・・間取りの使い分け

親子の戸を双方共引き込んで建具の存在を消し去った場合には、
手前の部屋と新たに設えた 洗面洗濯室とで一体一室 となるような使い方を想定しています。

  - 光や空気の廻り具合と視覚的な拡がりを得ることができます。

はたまた、トイレや風呂を利用する場合や時間帯に於いては、
それぞれがはっきりと 区画された部屋 として意識できるような使い方がしたいですよね。
 
  - であれば、生活動線の混乱もなくせます。

結果、引込戸による間取りと納まりは、その意図を込めて決定されたものだと言えます。

  リフォーム / 引込戸 洗面洗濯室


現在お施主さんはお元気ですが、実は要望の一つに 「 車椅子対応 」 の間取りがありました。

  - 将来のことは誰しも判りませんし、もしもの時の不安もあるのも何の不思議もありません。

もしもの時の、特に水廻りの使い勝手は誰しもが一考しておかねばなりません。
今回、引分戸 ( 引込戸 ) への変更 と併せ、床のバリアフリー化 も行っています。

  - 開き戸は便利なようですが、体が不自由になると途端に不便になります。

単純なリフォームに見えますが、
健康をそこなった時の生活の取り回しをも考慮した末の間取りと納まりではあるのです。

  リフォーム / 引込戸 階段下収納に親戸も収納

いつまでも使いやすい家であるように願っています。

吹抜けに面した開口に 「 すだれ 」

JUGEMテーマ:家づくり / 設計ノート

 

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吹抜けに面した2階の部屋の開口部をどう納めるかの一例です。

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まずは、 「 吹抜けを設けるのか設けないのか 」 があるのですが、
それには吹抜けが家の中でどのような位置付けになるのかを問うことから始めねばなりません。

 - おそらく私たちには本能的な容積希求があります。それを満たすために吹抜けはとても有効です。
 - 垂直方向へ拡がるその仕掛けは創る意志あって初めて手に入る空間ですから尚更なのです。

 吹抜けに求めるもの

さて設けるとなれば、どのような形状・形態の吹抜けが最適なのか を探っていくことになります。

通常は姿・素材等の 内観使い勝手、或いは 光・音・空気等の環境面 を考慮しつつの模索です。

  - 毎度のことですが コスト への配慮はいつでも頭の片隅にあります。

この吹抜けという空間、・・・ 求めている生活スタイルがダイレクトに形に反映される空間でもあります。
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吹抜け に限ったことではありませんが、
新たに創り出される空間はそこに 豊かな時間を生み出してくれるもの でなくては意味がないですから。

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おっと、今回のテーマは「吹抜けの創り方」ではありません。

  2F スダレ 2F 開口部を見上げる 


これは、屋根勾配に併せて競り上がる傾斜天井に 2F の顔をチョイと覗かせる、を狙っています。
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基本的に 2F の開口については 「 開けっ放し 」 を志向 してはいますが、
実際には写真で判るように 竹すだれ を吊り下げて納めています。

 - 一応、納まりには障子などの建具で仕切ることへの含みも持たせてはありますが。

  3D 1F〜2F 2F 開口部


実は、吹抜けに面する 2F 部分の 天井高は、1,200  しかありません。
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「 開けっ放し 」 故の転落対策として、 位置に開口を併せると共に 座卓カウンター を設えています。

 - 言うならば、脇机をカウンター化したものです。

吹抜けに覗く 2F の顔 ・・・ 実になんとも、ただそれだけです。

  2F スダレ  2F 座卓カウンター


そして、敢えて すだれを下げただけの納まり にしてあります。

 - 気分は町家建築だとも言えますし、使い勝手も悪くありません。
 - そして何より安上がり! ローコストだ。

 吹抜け様々

代わりに障子なり襖なりを仕込んでもよいかとは思いますが、すだれでも必要十分。
夏は巻き上げて開けっ放しに、冬は下ろしていれば空気の流れ位は簡単に遮断してくれます。

 - すだれはその表面に空気の膜を作ってくれます。

昨今は 「 空調 」 と言うと機械任せみたいに誤解しがちですが、
実は 「 すだれ 」 の上げ下げだけで面白いように空気の流れを作り出せる のも確かなことなのです。


これぞ、 「 吹抜け様々 」 と言わずして何と言いましょう。

  3D 1F〜2F  頭使って手動空調


今夏は節電意識が芽生えた年になりました。これからの住宅は先人の知恵がより求められるのでしょう。

壁と天井の取り合いは、壁勝ち?天井勝ち?

 

関連記事

天井の仕上げ材、納め方の違いによって壁との取り合いを考える。

● 「 木 」 の質感を活かして、天井を演出する

 

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おそらく殆どの方は  壁勝ち とか 天井勝ち なんて言葉を聞かれても、何のことやら判らないかもしれません。

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それらは、壁と天井が取り合う部位での納め方で用いる言葉なのですが、
何故それらが一般的でないかと言えば、 「 廻り縁と呼ばれる造作材を用いる納め方が殆どだからです。

- 本来は壁と天井の異なった仕上材を見切るために必要不可欠だった造作材だったのですが、、
- 今では 「 廻り縁 」 は、単なる 「 被せ 」 みたいな部材になってしまいましたね。
- ・・・
- 「 被せ 」 る納め方には、  「 壁勝ち 」 も 「 天井勝ち 」 もありません。

また壁、天井共に同材、特にクロス貼りのような場合は、そのまま貼りまわしてしまうことも多いですね。

- これは、マンションや事務所ビルなどの仕上げでは大多数かもしれません。

納まり:目地  これは 「 壁勝ち 」


上の写真で壁と天井 ( 2階床の腹も ) は  「  シラス壁  」  という塗り材を用いているのですが、
両者がぶつかる処を 「 壁勝ち 」 で納めています。

- 「 天井が負けている 」 と言い換えても構いません。どちらが優先されるかの言いまわしです。
- ・・・
- 右に見える箱は造付け家具ですが、こちらは勿論のこと 「 天井勝ち 」 で納めています。


 目地を切って見切る納めの勝ち負け

取り合い部を 「 被せ 」 でもなく塗りまわしでもなく、目地を切って納める わけです。

- そのためには、設計〜現場の全ての段階で数倍の手間が掛かるのですが、
- しかし 納まりの切れ味 にも歴然とした差が出ますから妥協はしたくないと思うのですね。
- ・・・
- どちらの部位を優先させるかで表情が変わりますから、施工直前まで検討作業が必至です。
- 施工して下さる方々の協力、努力にも支えられて成り立つ納め方と言えるかもしれません。
-  目地切り 納まり詳細図の一例

たかが、どう 「 見切る 」 かの違いなのですが、されど ・・・ です。 

- これは納め方全般に言えることなのかもしれません。足して見切るか、引いて見切るか。

納まり:目地  目地で見切る


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壁と天井というような部位の取り合いだけでなく、
同一面での異なる仕上げ材の見切りも、出来る限り同様の考え方で処理したいものです。
・・・
これは、壁~天井は上と同じ 「 壁勝ち 」 の目地を切っていますが、
仕上げを変えて2 分割した壁も目地を切って 見切っています。

- ここに ・・・ もし 「 被せ 」 なんてあったら許せんでしょう?

納まり:目地  壁の分割も目地切りで

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追記 天井勝ちの例も載せておきます。

天井勝ち  間接照明を仕込んだ納まり