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2018 : 平成30年-年賀状

謹賀新年
あけましておめでとうございます
本年もどうぞ宜しくお願いいたします

 

化粧水平材(梁・根太・垂木)で作り出す日本のリズム - 2

 

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現在の建築技術は、不可能と思えるような造形もいとも容易く作り出すことができます。

ですので「これはどうやって持っているのだろう?」なアバンギャルドな建物も増えました。

そういった造形が人目を惹き付けます。云わば マジック ですから。

 

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確かに面白いのです。が、荷重をしっかりと受け止める造形もまた面白いのです。

それは古の木造建築が生み出した重力への素直な構造での解法、知恵です。

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重さある物を、重力を、どう受けるかどう支えるかが確かな形として現れます。

働いている力の流れを素直に形で受ける。それは機能美と言っていいかもしれません。

 

 

 荷重を受けている構造架構を形として見せる

 

前回の記事では、床を受ける 根太を現わしで納める 手法について述べました。

またそれでこそ外観意匠に日本建築ならではのリズムを加味できるはずとも思います。

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このマンションではその考え方に倣い、腕木で壁を受ける 形をそのまま現わして外観としています。

 

 

  化粧腕木

 

 

ご存知のように、ほとんどのマンションは住戸の外に 共用廊下とバルコニー をプランされますが、

それらは基本の 躯体から外に跳ね出す形 で造られるのが一般的です。

 

   跳ね出し、俗にキャンチレバーとかキャンチとか言われていますね。

 

構造的にはそれで十分、まったく問題ありません。朝飯前です。

ですが、古の木造建築ではこんなアバンギャルドなことはできません でした。

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下から 方杖で受ける か、まずは 腕木のような梁を出して受ける か等の工夫が必要でした。

繰り返しますが、その造形が日本建築ならではの美しさを生み出していたように思うのです。

 

私にそのことを再認識させてくれたのが、例えば 丹下健三の香川県庁舎 等の建物です。

 

 

    丹下健三:香川県庁

    クリックで Google 画像検索ページ「 丹下健三 香川県庁 」を開きます

 

各階バルコニーの荷重を受ける腕木の小梁が、ピリリと引き締まったリズムを作り出しています。

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躯体より跳ね出した部分を何かが下で支えるデザインは理に叶っていますし、何より腑に落ちます。

 

   このマンションでは、腕木がバルコニー前面の壁を受け支えるデザインとしました。

 

 

 構造意匠の腕木に他にも機能も持たせる

 

ところで折角作り出したリズムですから、昼だけではなく夜にもそのリズムを楽しみたい ものです。

マンションも家。暗くなっての帰宅時に、住む人が 「 じぶんち 」 の実感を確かめられるように。

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そこで思い付いたのは 照明 でした。腕木の先端に照明を取り付けることを施工期間中に決定。

考慮したのは、周りの看板やネオン等の雑多で鮮やかな色に埋没しないこと。

 

辿り着いた答は、緑色の灯りを七つななつ星 です。

 

 

  化粧腕木

 

 

  おかえりなさい。

 

 

化粧水平材(梁・根太・垂木)で作り出す日本のリズム - 1

 

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今日のほとんどの建物では隠されることが多く目にすることも少ないでしょうが、

屋根を受ける垂木や床を受ける根太、更にそれらを受ける梁( 桁 )を 現わしで納める のは如何でしょう。

 

 

   化粧根太

 

 

と、いきなり書きましたが、

実は その納め方 にこそ、日本建築の美しさや面白さ が潜んでいるのではないかと私は思っています。

 

 

 構造架構がむき出しだった木造の構造物

 

例えば、清水寺の懸崖造りを支えている梁や嵐山渡月橋の橋脚に渡されている梁などに見る姿です。

横架材(大断面の水平材)が規則正しく並ぶ姿は、力強くまた端正な美しさに溢れています。

 

 

    検索:清水寺

    クリックで Google 画像検索ページ「 懸崖造り 清水の舞台 」を開きます

 

    検索:渡月橋

    クリックで Google 画像検索ページ「 渡月橋 」を開きます

 

他にも正倉院の高床を受けている大梁や、まだ残存している幾多の木橋は私にとって大切なお手本です。

 

   ● クリックで Google 画像検索ページ「 正倉院 」を開きます

   ● クリックで Google 画像検索ページ「 木橋 」を開きます

 

或いは古民家などで見られる丸裸の柱や梁の架構のダイナミズムには見惚れるばかりなのですが、

今日では構造材をできるだけ隠す納まりが主流になってしまいました。残念なことです。

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何故ならば、裸で晒すには木材の等級も上げなければなりませんし手も掛かるから。

加えて時と共にボード類の開発も進み品質も上がりました。技術も時代と共に流れを変えます。

 

ですが大断面の部材でなくとも、垂木や根太のような細材でも同質の趣は創り出せる はずです。

 

 

 横架材だけじゃない、細材で日本の美しさを

 

ほら、細材には細材ならではの 数による小気味よいリズム が生み出せます。これも日本建築ならではの美。

またそのリズムを際立たせているのが、それら 細材の木口 の存在であることに改めて気付かされます。

 

   例えば、社寺建築で横樋の付いていない屋根では、その下に並ぶ垂木の作り出す美しさを味わえます。

 

並び連なる 木口が作り出すリズム は、空間にメリハリある顔を創り出してくれます。

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そうは言っても、外回りではまたもや多くの制約が生じますから、そこは工夫の為所かと思います。

そこで、ここでは2階床のはね出し部分を受ける 根太を現わし で納めようと試みました。

 

木口の並ぶ姿は、この吹抜けの空間に一味違う日本的な表情を創り出したように思います。

 

 

   化粧根太

 

 

そもそもは、若い頃に京都の町で見ていた町屋の眺め。

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設計時の気分は 「 屋根越しの2階の窓に掛かるすだれ風情を室内に 」 でした。

 

 

「 木 」 の質感を活かして、天井を演出する

JUGEMテーマ:家づくり / 設計ノート

 

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床や壁の仕上げについては細かな要望も多いのですが、こと天井に関してはその限りではありません。

手足に触れる場所でもありませんし、もともと仕上げ材の種類も少ないからでしょうか。

 

でも、だからこそ設計する者の立場から、なるべく 自然な風合いを感じられる素材 で空間を作りたいのです。

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一般的に天井に多く用いられる材料は、石膏系の化粧ボードかボード下地にクロス張りといったところですが、

ここは!という空間には、その質感を求めて積極的に 「 」 を使うよう心掛けています。

 

 

天井:木仕上01

 

 

一口に 「 」 と言っても多種多様です。多くの種類があり、また仕上げ方も様々です。

皆さんも無垢材は勿論のこと、小片材を接着した集成材や薄く裂いた突板等を貼った合板などが思い浮かぶことでしょう。

 

 

 杉板を本実矧ぎ継ぎで張る
 

無垢材で最も使いやすい木材の一つに 「 」 があります。

柔らかな質感が持ち味で天井からの圧迫感も気になりません。また何よりそれほど高価でもありません。

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ただ無垢材ですので、湿度による伸縮や経年での反りなどには気を配る必要があります。

そこでただ突きつけるだけでは心配ですから、

ここでは板の横面に凹凸状の加工をした 本実矧ぎ継ぎ という張り方で施工しています。

 

 

天井:木仕上02-杉板

「杉板」で作った (創った) 天井

 

また継ぎ方には他にも 雇実矧ぎ(やといざねはぎ)とか 合決り/相決り(あいじゃくり)などあります。

ただ板を並べるだけの張り方はいけませんが、何らかの加工をしてもらえれば結構だと思います。

 

  - 引き締まった空間を創る時は、使う材料を絞るのも有効で効果のある一手です。

  - ・・・

  - 例えば床材に張ったフローリングを(同材同色で)天井にも張る手が考えられます。

  - 天井が普通に水平(床と並行を強調して)で、且つ濃色ですとより効果が増します。お薦めです。

 

 

 曲面の天井を「 木 」で仕上げたい

 

上の杉板を張った天井は勾配天井でしたが、こちらの住宅は 天井が曲面 です。

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無垢材で曲面は作れるでしょうか? えぇやればできるでしょう。

とは言っても、建物は設計の段階から竣工まで、そして維持費のことも考えるとずっとお金との戦いです。

 

  - 今回、床はナラの無垢フローリング張り、框や棚、幕板等の板状造作材にはナラ/タモ集成材を、

  - 引戸や造付家具の扉には桜突板を用いています。

 

また真っ先に 「 プラスターボードにクロス張り 」 という手も浮かびますが、求める解ではありません。

この家にとイメージした曲面天井。最終的にはしなやか且つ木目も優しい 「 シナ合板 」 で仕上げることとしました。

 

 - 天井の曲面を美しく仕上げたい。そのための材料選びにはずいぶんと悩みました。
 - 木の持つ滑らかな質感が味わいのシナ合板に決定。そして納めは 目透し張り です。

 - ・・・

 - 板形状の造作材については、ナラかタモの集成材を使用しています。

 - これらも金銭的な兼合いで無垢材か集成材かで悩みますが集成材もなかなか味のある仕上げになります。

 

ところで、合板の使用率が高いことを気にされる方も多いかもしれません。

しかし 合板と言えども「  」 の質感は必要十分。演出次第で満足のいく空間を創れます。

 

無垢材には無垢材ならではの深切な美しさが、合板には合板ならではの端正な美しさがありますから。

 

 

天井:木仕上03-シナ合板

「シナ合板」で作った (創った) 天井


 

合板ですから空気環境への配慮も必要です。

 

 - 材料はホルムアルデヒド等の化学物質に対応した 「 F☆☆☆☆ 」 を使用。

 - 且つ、24時間換気設備の設置にも細心の注意を払いますので御心配には及びません。

 

 

 天井と壁の取合いは、壁勝ち?天井勝ち?

 

さて上の2例の天井は、材料は 「 杉板とシナ合板 」、納め方は 「 本実矧ぎと目透し 」 と異なりました。

・・・

納め方が異なれば天井の表情も違ってきます。そして壁との取合いも問題になってくるのです。

壁か天井か、どちらを勝たせるかの取合いの算段をつけねばなりません。

 

 - 本実矧ぎで継いだ天井は、板材と判る程度には細い目地が入りますが一つの大きな面、

 - 目透し張りのシナ合板天井は、天井面の透かし目地による合板一枚一枚が独特の表情を創ります。

 

一枚の面を意識した 杉板天井は天井勝ち としました。横への伸びやかさを強調させたいと考えたからです。

目透しで分断される シナ合板の天井は壁勝ち で。壁取合い部もそのまま天井面に、が素直でしょう。

 

 - 「壁勝ち・天井勝ち」については以前書いたこちらの記事も参考にどうぞ。

 -  ● 壁と天井の取り合いは、壁勝ち?天井勝ち?

 

もちろん逆の勝ち負けもあっていいのですが、長所をつぶすよりは伸ばすやり方で双方正解でした。


 

天井:木仕上04

仕上げや納め方で取合いも考える

 

 

 

2017 : 平成29年-年賀状

謹賀新年
あけましておめでとうございます
昨年末に事務所登録を愛知県から故郷の宮崎県に移しました。
一からの再出発になるかと思いますが、他県出稼ぎ(笑)も厭わずに頑張る所存です。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。